げに美しさは海に宿る 〜島明神から法師浜へ
真夏です。真夏だけど、気温は30度付近。さわやかな風が山河を抜ける八戸なら、都会のようにエアコンの室外機に蒸されることもありません。今回の旅は、さわやかな汗をかきながら、名勝・種差海岸のお隣からさらなる八戸の魅力を探ります。蕪島・マリエント・葦毛崎展望台・大須賀海岸・種差海岸と、八戸の観光地は市の中心部から半島をぐるりと周り、南へと伸びていきます。今回はその先をさらに行く形となります。
つべこべ言わずに、まずは写真を見ていただこうかと思います。スゲーですよ。いや、僕の写真じゃなくて、八戸が。
'07 8月13日 (水) 13時10分:種差漁港
白浜漁港のはずれに立つ鳥居。海と八戸に対して、神妙な気持ちになります。
振り返ると、種差海岸の天然芝生値と、おだやかな堤防。
釣り人の姿も眩しい、真夏の八戸です。
漁具と岩。少しずつ日常から離れていく感覚がする。
種差漁港から少し歩くと、陸続きの島が見えてきます。島明神です。
海と鳥居。八戸の原風景です。
浜小屋を横目に、近くの高台に上ってみます。
島明神全景。風が渡り、草が揺れ、波が浜を撫でます。
岩や海。人間には持てない力を祀るかのような社。
海の力はあまりに強く豊かなのだと、改めて思い入る。
夏を謳歌する草花をかき分け、海沿いの道へと戻ります。
歩道が無い! これは正直危ないよなぁ。
数分で、高岩展望台に到着。払い下げられたバス? が置いてあります。
ずっとお世話になってたので、もう大好きです。味があるなあ。
高岩展望台は、高岩神社の鳥居をくぐった先にあります。
葦毛崎より高い高岩展望台。タイタニックできそうな形が気が利いてます。
振り返ると種差海岸、海と山が織りなす美。
南側は法師浜から大久喜までを望みます。こりゃすごい。
漁港と浜が手に取るように見えます。精巧なジオラマでもこうは行くまい。
それにしても、八戸の海って、こんなに水がキレイだったっけ?
碧く輝く水面は、南国のような風情すら見せています。
波が人を楽しませ、砂を揺り戻し運ぶ様。
ここに誰もいなくても、この波は揺れ続けてきたはずです。
小さなこの浜に宿った、慎ましやかな奇跡。
自然の精巧さと、美しさ。
こんな場所があってくれるといううれしさ。
夏を楽しむ子供や家族を思うと、こっちまで楽しくなります。
太平洋の西の端、八戸の海はこんなにもキレイで、
八戸市民はそれを敬い、養われ、
今日も海を見つめ続けているのでしょう。
展望台を下り、浜へ向かう道すがら。
水しぶきと歓声を上げる子供たちのそばで、
水平線の彼方を見つめる女性がいました。
美しく、深淵で、畏れを以て敬うべき海。
その姿の前では、人も草花も、ただ精一杯咲くだけしかないのだと、思う。
「げに美しさは海に宿る 〜島明神から法師浜へ」 終
解説
この美しい散策路は、目下八戸でも整備が進んでいる注目ポイントですが、驚くべきことに地元の人でも知らない人が多いんです。まさしく知る人ぞ知る観光スポットです。
八戸市民も案外知らない「法師浜」
八戸の友人知人に「法師浜って知ってる?」と聞いてみました。すると、けっこう知らない。実を言うと、僕もパンフレットの散策ルートに沿って歩く中で初めて知りました。こんなに美しい浜があったとは! と、僕は高台の上で写真を撮るのも忘れてしばし眺めたものです。
僕が知らなかったのは、もしかすると「川向い」の人ではないからかもしれません。「川向い」とは、市街地から見て新井田側の向こう側に住んでいる人たちを指します。八戸でもみんなが使うぐらいの馴染みの言い回しなのかは分からないのですが、こんな文脈で知りました。
- 「法師浜は川向いの人は知ってるけど、山の人間は知らない奴も多い」
- 「川向いの奴らは面白いんだ、昔っからの海の人たちだから」
住む場所に寄らず様々な仕事に就けるようになった現代においては、こういった場所と性格を結びつける言い方は一歩間違うと偏見になりかねない表現になってしまいますが、この話を聞かせてくれた人は終止「川向いの人たちはスゴイぞ、面白いぞ」という意味合いでこの言葉を使っていましたので、何卒ご容赦下さい。
八戸の海は、今回取り上げた法師浜のみならず、奥が深そうな気がします。海を深く知る人たちに、もっともっと話を聞きたくなりました。
海を祀る道
今回のフォトジャーナルは島明神から法師浜までの道のりでしたが、取材はひとまず蕪島から大久喜まで終えています。ただただ歩く取材は体力的に大変なものですが、とにかく「浜の美しさ」と「海を祀るもの」が並び、僕の疲れを癒してくれるようでした。パンフレットを見ると、海から突き出た岩にも名前がついていることが分かります。島明神の沖には「オオシマ」と「ハヤシマ」が、高岩展望台の沖には「ロウソクイワ」が。上記の写真にも写っている法師浜の岩には「オオナカイシ」という名前が付いています。
現代の合理的な考え方では、家も立てられないただの岩に名前を付けることはナンセンスかもしれません。しかし、日々海を見つめつづけてきた八戸の海の民は、それらに対する敬意を忘れなかったのだと僕は思います。その敬意が「名前を付ける」という形で顕われ、1つの独立した意識のようなものを持った存在として、人々から理解され、受け入れられているのだと感じます。
蕪島から大久喜までの道のりは、そんな敬意に満ちています。島明神や高岩神社のような形で分かりやすく自然への敬意を感じられる場所と、数々の名前をつけられた岩と、自然のままに守られる浜辺の草花。この道を、僕は「海を祀る道」と呼びたいな、なんて思っています。
なお、先ほどから挙げているパンフレットは、「花の渚」と銘打たれた写真入りの草花一覧と、「名作の渚」として種差海岸にまつわる文学者・芸術家をまとめた記事と、蕪島から大久喜までの散策ルートと景勝地がまとめられた「散策マップ」が表裏にまとめられている、非常に便利なものとなっています。とにかく紹介したいのでネット上を検索したのですが、どうにも見つかりません・・・Yahoo!のカテゴリから「八戸コンベンションビューロー」を辿ると、「おんでやぁんせはちのへ」 という八戸観光コンベンション協会さんの作成されているサイトに飛ぶのですが、このサイトの「観光パンフレットコーナー」でも見つけられませんでした。もしかすると、最近作られたパンフレットなのかもしれません。
今は旅行に行く前にネットで予習する人も多いですから、是非ともこの素晴らしいパンフレットを、ネット上で閲覧できるようにして欲しいな、と思います。(もしネット上に存在していたら、是非ともお教えください! すぐさま修正します。僕の手元にあるパンフレットは使い込んでもうボロボロです(笑))
いやはや、とにかく凄いですよ。種差海岸の向こうも、八戸の魅力は、スゲーです。







