
Twitterに「#genki8nohe」というハッシュタグがあって、そこに八戸の楽しいことをつぶやいているんですが、その中でも八戸弁の面白さについて先程ちょっと盛り上がったので、改めてご紹介。
ひどっつ(ひとつ)
ウチの子供が学校で「ナゲッツ」という奇妙なあだ名を付けられている...なんで、よりにもよって「ナゲッツ」なの? アタシがこの前お弁当にナゲットを入れたから? でも、それだって1つしか入れてない、なんで複数形で「ナゲッツ」なの? それとも、ウチの子供の顔がナゲッツに似てるとでもッ!?
...と悩むお母さん! そのお悩みは杞憂です。「ナゲッツ」というお子さんにつけられたあだ名...それはマクドナルド等でお馴染みの鶏肉のナゲッツではなく、「泣げっつ」。八戸弁で泣き虫という意味なのだ!
ちなみに僕も昔はすごいナゲッツだったが(将棋で負けるたびに100%泣いていた)、元気に育って今ではイッパシのオッサンになれたから、大丈夫!
ふだっつ(ふたつ)
お美しい一人のキャリアウーマンが悩んでいる。
私は埼玉出身の20代の女性です。先日商談で八戸を訪れたんですが、そこで...セクハラめいた事を、言われたんです。八戸駅のエスカレーターを降りて、うららかな春の日差しを浴びていると、取引先の八戸の企業の方がいらっしゃいました。社用車を止めて笑顔で走ってこられたネクタイ姿の彼は、さわやかな笑顔のステキな人でした。しかし、彼はその後豹変したんです。
先方の会社の会議室へ入って扉を閉めた直後...彼はこういったんです。
「...ぬぎな。」
駅前ではさわやかだったのに、部屋に入った途端に「脱ぎな」なんて!互いに信頼して共に良い仕事が出来ると思っていた矢先のこの出来事に、私は泣き出してしまったんです。
ハイ、解説しましょう。もし八戸で「ぬぎな。」と言われても、決してセクハラではありません。以下に中身を示しましょう。
- 「ぬぎな」
- 「ぬぐぃな」
- 「ぬぐい・な」
- 「ぬぐい・ですね」
- 「ぬくい・ですね」
- 「暑いですね」
というわけで、「ぬぎな。」は「脱ぎな。」ではなく「暑いですね」という意味なんですね。きっと会議室の換気が出来ていなかったとかで、ちょっとムッとしていたんじゃないでしょうか? 遠方からいらしたあなたを気遣って「暑いですねー」っていう感じで先方の方は言われたんじゃないかと思います。
ポイントは、アクセント。
- 「脱ぎな」 : 「ぬ↓ぎ↑な↑」
- 「ぬぎな(暑いですね)」 : 「ぬ↓ぎ↑な↓」
「な」が下がっていたら大抵は「〜ですね」ぐらいの意味なんです。八戸弁を初めて聞くと、「〜な」という標準語での命令形に近い言葉遣いがちょっとキツく聞こえるかもしれませんが、田舎の風情だと思ってもらえればうれしいなぁと思います。
みっつ(みっつ)
八戸弁には日本語の五十音に含まれない音があります。「あかさたな」から「ぎゃ・しゃ・ちゃ」の辺りまで網羅された五十音表の中にも、一切出てこない音が、八戸弁にはあるんです。
例えば「てゃ」と「だゃ」。以下の例文をご覧下さい。
パソコンしてゃんだゃ?
この発言を聞き分けることも、元の意味を推測することも、八戸弁を知らない人には難しいかと思われます。元の文章の意味から、順にたどっていきましょう。まずは、文末の「だゃ?」について。
- パソコンをしているんですか?
- パソコンをしているんだか?
- パソコンをしているんだが?
- パソコンをしているんだゃ?
元々は「ですか?」という意味なんですが、それが「だか」に縮まり、「だが」と濁り、最後に「が」が省略されて「ゃ」になってるんですね。
では次に「てゃ」の成り立ちについて。
- パソコンをしているんだゃ?
- パソコンしているんだゃ?
- パソコンしてらんだゃ?
- パソコンしてゃんだゃ?
このように、「てゃ」は「〜している」という意味なんですね。最初に「を」が省かれ、次に「いる」が「ら」と縮められ、最後に「ら」が省略されて「ゃ」になるという、先程解説した「だゃ」と同じ流れで「てゃ」が生まれていることがご理解いただけると思います。言葉をどんどん短くしていく傾向がある北の方言の中でも特異な発展をした八戸弁は、もはや日本語の枠すらをはみ出しつつあるのかもしれませんね。
というわけで、「てゃ」「だゃ」といった見慣れない「ゃ」についてのご紹介でした。この発音が聞き取れて、しかも発音できたとしたら...あなたは間違いなく八戸弁合格です!




