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'10 01月28日 (木) 00時12分 : 「さらかもねどげ」

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子供の頃、例えば兄弟といつまでもチャンネル争いをしていたりするのに業を煮やした祖父は、容赦ない教育的指導を僕に施したあと、「さらかもねどげ」と必ず言った。激昂した祖父の前で祖母は僕たちをかばおうとするけれど、祖父に押しのけられる。僕はボコボコと殴られ、靴をはく暇もなく真冬の外に追い出される。祖父をなだめる祖母の声を背中に、泣き叫ぶ僕も構わず祖父は容赦なく扉を閉める。閉めた直後、祖父は「さらかもねどげ」と叫ぶのだった。

・・・何のことだか分からなかった。「さらかもねどげ」の意味が、分からなかったのだ。でもそのうち、徐々に推測がついてきた。それは、こんな感じだ。

  1. まず、その言葉は僕をかばう祖母に対して言われていることが推測された。僕を外に締め出した後に叫ぶから。
  2. ある日、「『さら』とは『まっさら』のさらで、『まったく、ちっとも』という意味合いでは? と思いついた。
  3. となると、残りは『かもねどげ』。これなら何とか推測がつく。『かもねどげ』→『かまわねどげ』→『構わないでおけ』
  4. つまり「さらかもねどけ=まったく構うな」という意味ではないか。

直接確認する前に祖父は死んでしまったけど、どうやらこれで合っているらしい。

ここでポイントは、同じ国・同じ地域に住んで、生まれた頃から八戸の訛りを習得しているにも関わらず、分からない言葉があるということ。改めて思い返すと、日常生活の中で「おじいさんは何を言っているんだろう?」という疑問にさらされることがたくさんあった。例えば、こんな言葉。

  • 「きっち」 → 浴槽のこと。「きっちいてこ(「きっち」に行ってこい)」=「お風呂に入りなさい」という意味だが、小さい頃の僕は「キッチンに行け」という意味かと勘違いして、洗い場の前で祖父の次の一言を待った。
  • 「じゃんぼ」 →髪の毛のこと。「じゃんぼかてこ(「じゃんぼ」を刈ってこい)」=「髪の毛を切ってきなさい」という意味だが、小さい頃の僕は祖母に困った視線を向けて、通訳をお願いした。ちなみに、八戸で「じゃんぼ」という人はあまり多くないようで、津軽弁でよく用いられる。

そんな風に祖父と僕は時々まったく訳の分からない会話をしながら暮らしていたわけで、今になって考えるとこんなに面白い生活環境は無いよなぁ、と思う。普段の生活自体が異文化との交流になっているのだから、スゴイものだ。でも、孫と上手く話せない祖父のことを考えると、切ない。僕に言葉が通じていない様子を見ながらも、そんな僕を許し続けた祖父を想像すると、祖父に叩かれ外に出された思い出すらあったかくなる。

今日の写真

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実は今日の写真は八戸ではありません。八戸までの帰省の足・新幹線「はやて」の車窓から見下ろす盛岡駅です。寒風吹きすさぶ盛岡駅を温かい車内から見下ろしていると、八戸に近づけば近づくほどに時間まで巻き戻ったかのように、八戸に住んでいた小さな頃の場面がリアルに立ち浮かんでくるんですね。外に出されたあの日も、この写真のような吹雪でした。八戸で生まれ育った僕からすれば、子供の頃の思い出はすべて、八戸の思い出でもあるのです。

ちなみに、普段このdiaryで使っている写真は95%以上八戸の写真ですし、当サイトのメインコンテンツ・photoのページは純度100%・生粋の八戸写真ですので、そちらもどうぞお楽しみくださいませー!(右のボタンから行けます)

Comments:2

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kitaguni 2010年1月28日 00:39

よく覚えてますね・・・。
チョッカイ出しては「さらかもな!」とよく言われました。。
「きっち」も思い出しました!
「じゃんぼ」とは坊主頭の事ですよね?
忘れててもふと口に出る言葉が有るんですよね。。。
今度から書きとめて置きましょうかね。。。うふふっ(*゚v゚*)

from8.org管理人 2010年1月31日 23:38

>kitaguniさん

コメントありがとうございます!
お返事が遅れて申し訳ないです、仕事が立て込んだのと、パソコンのバックアップ体制が一時的に
崩れてしまったことの対応に負われまして・・・いやはや(汗)

>「さらかもな!」

あああああああ! これも言われた気がします、なんか思い出しそうな感じ・・・うむむむ。
日記にも書きましたが、僕の子供の頃の思い出はすべて八戸の思い出でもあるので、
どんどん思い返していこうと思いながらも、なかなか出てこずに通勤中に唸っていたりします。
出る時はすんなり出るんですけどねー・・・

>「じゃんぼ」とは坊主頭の事ですよね?

あれ? そうなんですか? 僕は「髪の毛」のことだと思っていました。
津軽弁でも髪の毛の意で使うことが多いようですが、もしかすると転じて「坊主頭」の意もあったのかも
しれませんね。僕と祖父という2世代の差だけでも圧倒的に使う言葉がズレているのですから、
同じ市内であっても別の意味がある言葉だってあっておかしくないとも思います。
そんな風にして方言が人の暮らしや文化の中にまで染み込んでいるからこそ、方言には代え難い魅力が
あるのでしょうし。

東京の人が聞いたらツッケンドンに聞こえるかもしれないけれど、
僕にとって八戸弁は、祖父を思い出すことと同じぐらいにあったかいものです。

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