
僕の祖父の右手の人さし指の先は、大きく曲がっている。爪の根本が斜めに指先に食い込み、指全体もそこからちょっと右を向いている。指の長さは予想される長さよりも短く、何かしら強い力を受けて指が曲がってしまったようになっている。
で、小さい頃・・・小学校低学年ぐらいの僕は、祖父の膝の上で訊ねました。
「どうして指はこんな風に曲がってるの?」
祖父は答えます。
「赤ちゃんの頃のお前に、思いっきり囓られたからだ」
その話を聞いた僕は顔面蒼白、それ以上の話は聞けなかったのでした。しかしまあ、今になって考えてみると、祖父はその時相当ニヤニヤしながら話していたので、きっとウソなんだと思います。今度帰省したら祖母に聞いてみようと思います、祖父はもう他界しているので。「赤ちゃんの頃の僕には歯が無かったはずなのに・・・?」「果たして赤ちゃんにオトナの指を噛みちぎるぐらいの力があるのだろうか・・・?」「こんな風な指にされてしまった祖父は、僕のことを本当に許しているのか・・・?」など、色々と心配してしまったのが杞憂なのはちょっとだけ癪ですけど、今となってはもう、笑い話です。
祖父の・・・当時の呼び方で言えば「おじいさん」のゴツゴツとして分厚い、象のような手と指。もう焼かれてしまったけど、あの温かさは忘れようがありません。
今日の写真
今日の写真は、三々五々めいめい穏やかに午後の日差しを楽しむうみねこ達です。辺りはうみねこたちの鳴き声に満ちて、その中にか細い雛の鳴き声が微かに聞き取れます。親にご飯をねだったり、地面の草や親のしっぽをついばんでみたり、片方の羽を大きく広げてフラフラしてみたり・・・子供はいつも親のそばでただ時間を過ごしているだけ。そんな時間の中で、僕にとっての祖父の手のような、一生忘れられない場面を記憶に刻み込む運命の一瞬も、訪れていることなんだろうな・・・と思いながら眺めていると、ちっとも飽きることがありません。
なお、うみねこの繁殖地としての八戸・蕪島は、日本で唯一人間が踏み込んで間近で観察することのできる場所として有名です。でも案外、八戸に住んでいる人って、知らないんですよねー・・・。スゴイ場所なんですよ、実は!
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