
古参のニュースサイト「エルエル」さんから、お魚好きの方ならついつい気になってしまうであろう、こちらの記事を。ちょっとだけ引用させていただくと・・・
このお魚さんは「Sarpa salpa」と言う名前で、一見するとちょっとタイみたいに見えておいしそうですけどところがあらどっこい、このお魚には食べると数日間にも渡って幻覚が見えたりする恐るべき作用があるんだそうです。
(中略)
このSarpa salpaと言うお魚は地中海のレストランでは一般的なご馳走なんだそうで、しかし海洋専門家によると頭や特定の部位を人間が食べると強い幻覚作用があるそうです。実際に2006年には南フランスでこの魚を食べた男性二人が入院し、その内の1人の90歳の男性は食べて2時間後から幻聴などの影響が出始めてまるまる二晩悪夢を見続けたそうです。
若い40歳の男性も同じような影響が出て、完全に回復するまでに36時間もかかったそうです。 ただ、イギリスの自然史博物館で魚部門の責任者をしているOliver Crimmenさんによると、この魚を食べてそのような状態になることはとても稀なことだと言います。もともと食用としても一般的な魚であり、この2006年の出来事はかなり珍しい事件なんだそうです。
いやはや、恐ろしいお魚・・・であると同時に、「もしかして合法的にトリップできるって事? しかも、いわゆるヤクみたいなものじゃなく、お魚を食べるだけで?」なんてやましいことを考える輩が出かねないお話でもありますよね。
で、ちょっと調べてみたんですけども、そこまでオイシイお話ではないようで。下記のサイトを参考にさせていただき、まとめてみました。(1・2・3・4・5・6)
食べるとラリっちゃうお魚さんの正体
「Sarpe salpe」という呼び方は学名で、英語の名前はGoldline。日本ではフエダイの仲間と分類されているようです。このお魚は、上記の中毒事件ではイギリス海峡で見つかりましたが、通常はもっと南のあたたかい海に住んでいるお魚です。
で、どうしてこのお魚を食べるとラリっちゃうのか? と言いますと、フグのように体内で毒を生産するのではなく、毒のある食べ物を食べたから。その食べ物とは・・・藻です。渦鞭毛藻(うずべんもうそう)という小さな藻はシガトキシンという天然の毒を生み出す性質があり、その藻が表面に張り付いている海草を魚が食べると、その体内に毒が蓄積されます。Sarpe Salpeというタイは、この藻がついた海草をわずかながら食べる習性を持っているため、体内に毒が溜まってしまうわけです。
さて、このシガトキシンという毒を摂取するとどうなってしまうのか・・・この毒の名前、あまり聞いたことがない方が多いかもしれませんが、実はけっこう有名なものらしいんです。シガトキシンが引き起こす中毒はシガテラと呼ばれ、死亡率は低いものの細菌以外の自然毒では被害者数は世界最多、毎年2万人以上・・・とのこと。日本では沖縄ではシガテラ中毒を指し示す言い伝えがあるほど、案外我々から遠くない問題なんです。
このシガテラ中毒は、シガトキシンが熱で分解されないことから加熱処理も効かない厄介な代物で、下記のような症状を食べてから1〜8時間後に引き起こします。
- めまい・麻痺・感覚異常
- 頭痛や筋肉の痛み
- 下痢、腹痛、嘔吐などの消化器系の障害
- 血圧異常や心拍数異常などの循環器障害
- ドライアイスセンセーション : 冷たさに対する感覚がドライアイスに接触し凍傷に罹ったかのような感覚になる症状
・・・ひどい症状ですね。特に「ドライアイスセンセーション」なる謎の症状が恐怖心を煽ります。これらの症状をひっくるめて、冒頭の記事では「ラリっちゃう」、元のイギリスの記事でも「LSD」などの言葉を使っていますが、実際はそんな気持ちよさそうな症状とはかけ離れたもののようです。期待された方、残念でした。
というわけで、調べてみると「お魚を食べるだけで気持ちよくなれちゃう!」なんていうオイシイ話とはかけ離れた、ただの苦しい食中毒だった事が分かりましたが・・・一方で、このお魚は地中海などでは普通に食されているものであり、事故自体は希なものです。日本では沖縄での発生が主でしたが、2002年以降に茨城県と大阪府で1件ずつ報告があり、近年の地球温暖化によるプランクトンの生息域拡大が可能性として指摘されており、今後少しずつメジャーになっていく問題かもしれません。
港町八戸出身の僕にとっては大注目の、食べたらラリっちゃう・・・改め、食べたら食中毒になっちゃうかもしれないお魚がいるというお話でございました。
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