
先日紹介したイギリスの番組「Britain's got talent」でのポール・ポッツの感動に続き、もう一度観客を魅了する人物が現れました。それは女性、47歳、猫のジェレミと二人で生活をしていたスーザン・ボイルさん。ステージに上る前、インタビュアーを相手に彼女は自嘲的に語ります。
「今までキスをしたこともない。箱入り娘ですからね!」
そんな彼女が歌うのは、1980年初演のミュージカル「レ・ミゼラブル」から「夢やぶれて」。彼女はあくまで明るく、笑顔を絶やさず、過ぎ去った日々を思う歌を歌い始めます。彼女の決して美人とは言い難い風貌に、審査員や観客は怪訝な目を向けていましたが、一葉のメロディが彼女の口から出た瞬間、会場は一変することになります。
早速ですが、動画を見ていただきましょう!(下記2つのリンク先の動画はまったく同じものですが、ニコニコ動画はコメント付で見られます。訳字幕付きです)
スゴイですね、まったく。彼女は会場・審査員から圧倒的な支持を得て、準決勝へと進むこととなります。今後の彼女の動向に大注目、といったところでしょう。
夢やぶれて
彼女がこれほどの支持を得られたひとつの理由に、彼女の人生(そして、彼女を見た観客が連想する彼女の人生)を丸写しにしたような歌詞が挙げられると思います。ここで、上に挙げた動画内の訳詞を抜き出してみましょう。
過ぎ去りし日の夢 希望に満ちていたあの頃
永遠の愛を夢見て 神もお許しになろうと
若さゆえの怖さ知らず 夢ははかなく破れ
何もない 私はここに 歌は歌い尽くし酒も飲み干した
でも 虎は夜やってくる 雷のように低くうなりながら
希望を八つ裂きにし 夢も恥と変わる
私は夢見る あの人が・・・ 共に人生を歩んでくれると
でも 叶わぬ夢もある 避けきれぬ嵐もある
こんなはずじゃなかった
こんな地獄で暮らすとは こんな哀れな姿で
夢やぶれし 我が人生
素朴な田舎の陽気でマイペースなおばさん・・・そんな風に見える47歳の彼女から、こんな言葉が歌われる。『こんなはずじゃなかった』『夢やぶれし わが人生』。歌い出しの美声に引き込まれた観客に、やがてこの歌詞のメッセージが深く突き刺さることになります。人生に対する後悔・・・それは、人なら誰でも思う「人生の本質」のひとつでしょう。その本質を、かくも美しく、かくも説得力深く、そしてかくも優しく歌い上げた彼女に対して、世界は「YouTubeなどの視聴1000万回超え」という形で応えています。
そして今も、彼女の優しい歌声は、インターネットを通じて世界に広がっています。
2回目のチャンスを確実に射止めるTV演出
前回、ポール・ポッツの登場の回の放送では、カメラワークなどの演習は非常に素晴らしいものがありましたが、一部演習が緩いと指摘された箇所がありました。例えば審査員のカメラワークの一部に正面からの表情ショットが短いところがあったり、ポール・ポッツ退場後のBGMが浮いたものだったり・・・といったものです。
しかし今回、その演出技巧はさらに緻密に計算されたものになり、審査員や観客の表情もつぶさに捉え、歌い終えた後のBGMも「夢やぶれて」の穏やかなリプライズで余韻感を大事に、そして何より、審査委員長のサイモン・コーウェルの表情・コメントが素晴らしい。
この人、えらい毒舌で有名なんですけども「まさか、これがサイモン!?」と言いたくなるような表情とコメントを見せています。歌に聞き惚れる何ともほっこりしたサイモンの笑顔、そして最後のサイモンのコメントが、泣けるんですねー。下記、審査員3人全員が合格である旨を伝える一言です。(動画内の字幕ではなく、意訳しています)
「どうぞ胸を張って、あなたの町へとお帰り下さい。高々と"Yes"3つを掲げてね」
彼女の人生と、名曲と、ここに居合わせた偶然と、その才能に対する敬意が表れたような締めの一言によって、観客も視聴者も最高の読後感のようなものを胸に秘めながら、彼女の喜びを共にかみしめることが出来ます。彼女が歩んできた道を想おうとする時、僕らはあらためて歌のメッセージや、出会いの奇跡や、自分自身の人生の意味を感じることができるような気がします。
追記:ライバル登場!?
スーザン・ボイルさんの人気の裏で、こんなライバルも登場している様子。Britain's got talent 2009、盛り上がって参りましたーっ!!
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