
僕が通っていた小学校は歴史が古かったらしく、給食の後の歯磨きをする流し場はタイル張りの古風なデザイン。廊下に並んでいる流し場の間には歯ブラシ入れが並んでいるんですが、その日の僕はランドセルから新品の歯ブラシを取り出しました。その歯ブラシを確認してから、僕はおもむろに流し場へ向かい、石鹸を付けて泡立てました。
その様子を見た女の子が一言。
「○○くん、石鹸で歯を磨くの?」
その一言で同級生達は騒然、「石鹸は歯を磨くものじゃないよ」という優しい言葉から、「馬鹿じゃねーの?」という冷たい言葉まで。あまりの騒動に何も言えなくなってしまった僕は、騒ぎを聞いて駆けつけた先生が「石鹸はみんなが触っているもので、口に入れられるほどキレイなものではないから、それで歯を磨くのはやめよう」と諭すのにも何も言えずに下を向いていました。そのうちに自然と涙が溢れていて、石鹸が付いた歯ブラシを持ったまま僕は泣き出してしまったんです。
僕はただ、歯ブラシについたインクを洗い落とそうとしてただけなんですけどね。ランドセルの中の歯ブラシが布の袋から飛び出して、一緒に入れていたボールペンのインクがついちゃったんです。
昔から不器用な私でございました。
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